2006年10月11日

アメリカシロヒトリの豆知識―日本へ侵入後の発生回数の地域的変化―

アメリカシロヒトリは北米原産で,第2次大戦直後に米軍貨物について侵入したと推定されている。1945年秋には東京のポプラから初めて採取され,その後急速に分布を拡大した。

現在は,北海道,山口,高知,佐賀,長崎,鹿児島を除く地域に広く定着している。なお,北海道では2000年に函館市内の街路樹に発生し,新聞で報道された。北海道での今後の動向が注目されている。

アメリカシロヒトリの侵入後,分布の拡大に伴い,年発生回数が2回と3回の地域に分かれてゆき,北緯36度あたりを境にして,日本の北東部では2回,西南部で3回の発生が主流となっている。

アメリカシロヒトリが年2回発生する地域では,越冬した休眠蛹から春に成虫が羽化して交尾し,第1世代の卵を産む。寄主植物を食害して大きくなり,第1世代の成虫は真夏に羽化して交尾し,第2世代となる卵を産む。第2世代の幼虫は秋に蛹化してそのまま越冬休眠する。

アメリカシロヒトリが年3回発生する地域では,第1世代の幼虫は6月上旬に発生して7月上旬に蛹になる。第2世代の幼虫は7月下旬に発生して8月中旬に蛹となり,第3世代の幼虫は9月上旬に発生して10月中旬〜下旬に休眠蛹となり越冬する。

今後の地球温暖化の進展は,アメリカシロヒトリが年3回発生する地域の北上,あるいは北海道での定着と分布拡大を引き起こすかもしれない。


参考文献:『休眠の昆虫学―季節適応の謎― 野外の毒虫と不快な虫』(田中誠二・檜垣守男・小滝豊美 編著,東海大学出版会)中の「第9章 侵入昆虫アメリカシロヒトリの適応と分布拡大」(五味正志著)。


posted by ルイワンムシ at 13:23| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカシロヒトリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。